2021-05-07 pixie

時計屋さん

4月の頭に古道具屋さんで買った時計が

下旬にはかなりの勢いで遅れ始めました。

電池を変えても遅れる。

下旬のある日、お店に行かないとな時間なのですが

異様にその時計を治して貰わないとと

急いで取りに戻りました

ピクシィーの二軒隣りは昔から商われている時計屋さんで

アンティークが好きな私は時計も古い物が多く

困ったらすぐに持っていき

そしたらおじさんはすぐに分解して原因を突き止めてくれます。

今回持って行った掛時計も

すぐに往診の様に診断してくれ

悪い所を見つけてくれました。

「コンデンサーを付けな治らんわー

ちょっと日にち頂戴、直しとくな」

コンデンサーはマイクしか知らんし

なんのこっちゃ分かってない私に

その古そうなパーツを大切そうに見せてくれて

これは貴重なんやと教えてくれました。

私は急がんのでよろしくお願いしますと伝えましたが

その時のおじさんの顔が力無い感じで笑ったのを覚えています。

おっちゃん歳を取ったなーと感じ、時計修理の職人さんが

どれだけ大切かとかを友達と話したりしていました。

ゴールデンウィーク辺り

毎日おっちゃんの事、時計の事を思い出していて

早く迎えに行ったら急かしたみたいになるし

もう少しして取りに行こうと

今日取りに行きました。

なんかいつもとお店の雰囲気が違っていて

すぐにどしたんかな?とお店の先の居間みたいなとこを覗いたけどおっちゃんはおらず

すぐ手前の作業机を見たら人が居たので

おった!とドアを開けたら

こちらを向いたのは息子さんかな?と

思しき人でした。

おっちゃんおりますか?と聞くと

「亡くなったんです」と

私はえ??となり何かおかしいなと感じた気持ちは

これだったんかと思いました。

4月の最終辺り

お客さんの時計をいつもの机で直しながら

直した時計が壊れ無い様

壁にもたれて

心臓発作で亡くなっていたと

そのお店に居た方はおっちゃんの弟子の様な方で

おっちゃんの腕の凄さ

気持ちの優しさ、生き方の潔さなどをゆっくりと話してくれました。

その方は私に時計は預かってますか?

もしかしてこの掛け時計ですか?と

お店のど真ん中に一つだけ

掲げてくれていた私の時計を指差してくれました。

私もお店に入った時

すぐにその時計を見つけていました。

このコンデンサーの直し方は香川ではおっちゃんくらいしか

もう直せ無い事

そのパーツがとても貴重と言う事を話してくれました。

掛け時計を渡してくれる時

お代を払おうとしたら

これは最後のおっちゃんからのプレゼントですと

受け取ってくれませんでした。

私はヒー!と言う声を出して泣けました。

こんな声出した事無いとも思いました。

おっちゃんはいつも優しく接してくれて

私の様な青二歳にも判るように

話してくれていました。

職人のかがみの様なおじさんでした。

一昨年や去年、ずっとおっちゃんの事をブログに書こうと思って

写真を行くたびに隠し撮りしていました。

この写真は最後に時計を持って行った時に

コソリと撮った写真です。

また錦町が寂しくなりましたが

教わった事を覚えていたいと

思いました。

時計を渡してくれた方は

おじさんが亡くなった時、直し途中の時計を

直していました。

意志と技術を継ぐ方がいて

嬉しかったです。

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